FX初心者必見!!誰も教えてくれなかった水平線・波の描き方
更新日時:2016年11月10日 02:00水平線を使ったトレードをする為には、値動きから『波』を描いて、波の高値・安値に水平線を引く事が出来なければ、何も始まりません。
ダウ理論やエリオット波動理論等をトレードに生かす為には、必要最低限、波を描くテクニックを習得していなければなりませんが、波の描き方というモノはマニュアルがある分野ではなく、個々人の裁量に左右される分野です。
それ故に習得が難しく、特に相場の初心者の内はどうやって波を描けばいいのかの取っ掛かりすらつかめないと言う方も沢山いらっしゃるのではないかと思います。
今日は、波をどう描いて行くのかという事について、解説をして行きたいと思います。
チャートに波を描く為には『押し・戻り』を定義する事
相場というモノは、上がったり下がったりするもので、その値動きがチャートに『波』を描いて行きますが、上がって行く場合でも陽線のみで上がって行くというわけではなく、下がって行く場合でも陰線のみで下がって行くというわけではありません。
上昇相場であれば、陽線の中に陰線が混ざりますし、下落相場であれば、陰線の中に陽線が混ざります。
上昇相場の中で、一時的に下がる局面を『押し』、下落相場の中で、一時的に上がる局面を『戻り』と言いますが、『押し』や『戻り』の高安を認識する事によって始めて、チャートに波を描く事が出来るようになります。
逆に言えば、どうなったら『押し・戻り』と認識するか?と言う事を定義すれば、チャートに波を描く事が出来ると言えます。
チャートに波を描くという事は、『押し』や『戻り』と認識する為の定義を決めて行く事になります。
押しや戻りの目安を決める
1時間足でトレードをしていると仮定して、陽線が連続して上昇相場が継続している最中に陰線が出たとします。陰線を1本挟んで、再度陽線が連続して出て、上昇相場が継続して行ったとします。この陰線が1pips程度の小陰線であった場合、この陰線をもって『押し』と考える事が出来るでしょうか?そうは考えない人が多数派なのではないかと思います。
それでは逆に『押し』と考える為には、どうであれば『押し』という事が出来るのでしょうか?
これを決めて行く事が、『押し』や『戻り』と認識する為の定義を決めるという事なります。
『押し』や『戻り』の定義に正解というモノはなく、その為のルールというモノも無い為、自分で決めて行かなければなりません。
○○pips数以上押したら(あるいは戻ったら)、『押し』・『戻り』と認識するというような決め方もあります。『押し』や『戻り』の定義に正解はないので、pips数で定義するのも間違いではありませんが、ここでは『フィボナッチリトレースメント』を使って、『押し』・『戻り』を認識・定義して行く方法をご提案します。
フィボナッチリトレースメントで『押し』・『戻り』を定義・認識する
フィボナッチリトレースメントと言うのは、サポートラインやレジスタンスラインの水準を導き出すテクニカル分析で、フィボナッチ数列を利用する事が名前の由来になっています。
松ぼっくりやパイナップルのかさ等、自然界でも良く出現する数列らしいのですが、フィボナッチ数列自体についての説明はここでは割愛します。
フィボナッチ数列には、色々な数字があるのですが、FXチャート上でよく使われる数字は以下の数字となります。
『23.6%』
『38.2%』
『50%』
『61.8%』
『76.4%』
と言った辺りの数字が注目されることの多い数字です。
『フィボナッチリトレースメントで押し・戻りを定義・認識する』と言うのは、単刀直入に言えば、レートの上昇あるいは下落に対して『23.6%』以上、逆行したら『押し』・『戻し』と認識すると定義するという事です。
若干、乱暴な定義ですが、こうしてルールを決める事で、迷いなく波形を描いて行く事が出来ます。波形を描いていく上で、いくつかの注意点はありますが、それについては後述します。
メタトレーダー4でのフィボナッチリトレースメントの使い方
私はメタトレーダー4と言うチャートソフトを使っているので、ここでは、メタトレーダー4を使ってチャートにフィボナッチリトレースメントを表示させる方法を解説します。メタトレーダー以外のチャートソフトを使用している場合には、各々使用しているチャートソフトのマニュアルを御参照下さい。
まず、メニューから『挿入』→『フィボナッチ』→『リトレースメント』とクリックして行きます。この際、メニューバーにボタンがある場合には、ボタンクリックでも構いません。
余談ですが、メニューボタンの上で右クリック→『カスタマイズ』から、メニューボタンに表示させるものを編集できますので、フィボナッチリトレースメントのボタンを表示させるようにしておくと楽です。
波の頂点から、次の陽線の始値までドラッグします。23.6%以上戻しているので、『トレンドラインツール』を使って波を描きます。
これを繰り返して、上の画像のように波を描いていきます。
こうやって短期の波(緑色の波)を描いたら、緑色の波のトレンドの始点と終点を結ぶことで、中期トレンドの方波を描いて行く事も可能になります。
対応出来ない場合もある
このようにフィボナッチリトレースメントを利用して、『どうなったら押し・戻しと認識するか?』という事を定義する事によって、迷いなく波を描いて行く事が出来るようになりますが、この定義だけでは対応できないようなケースもあります。
ここからは、これまで解説してきた内容を踏まえて、この定義では対応出来ないようないくつかの注意事項について、解説をして行きたいと思います。
レンジ相場への対応
上の画像の赤い点線の四角の部分のようなレンジ相場では、フィボナッチリトレースメントを使って、押し戻りを計って波を描こうとすると波の形がガタガタになってしまいます。
こういった状況下では、どのように波を描けばいいのか?という迷いが生じます。
自分自身が波を描く上で迷うという事は、自分以外のトレーダーもどのプライスが重要な高値・安値かが分からないという状態にあるという事ですので、そういうマインドの中で引いた水平線というのは、売買の根拠になり難く、結果としてサポートライン・レジスタンスラインとして機能しないという場合が多くなります。
フィボナッチリトレースメントを用いて最低限、23.6%以上の押しや戻りがあれば、押しや戻りと認識すると言っても、値幅の小さいレンジ相場で、『2pips下落しました→1pips戻しました』で押し・戻りと認識して波を描いていくのには無理がありますし、不毛でもあります。
チャートに波形を描く事の最大の目的は、『トレーダーが意識している高値・安値に水平線を引く』事にあります。
レンジ相場における『意味のある高値・安値』とは何か?といえば、レンジの上限・下限という事になりますので、レンジの上限・下限に波の高安を置くような形で、波を描くという事がベストアンサーになります。
『どのように波を描けばいいのか分からない』という心理状態にあるという事を自覚しているという事は、非常に重要です。『どのように波を描けばいいのか分からない』という事は、相場の方向性が分からないという事であり、それを自覚出来ていれば、『方向性が分からないのでトレードをしない』と言う判断を下すことも出来ます。
この事で、必然的に無駄撃ちが減り、無駄なエントリーを減らす事に繋がって行きます。
相場がウマい人=勝っている人と言うのは、自分が分かる相場で勝ち易いと判断した時しかエントリーをしないもので、ヘタな人=負けている人との最大の違いはこの部分にあります。
レンジ相場に入り込んでしまって、『どのように波を描けばいいのか分からない』と言う状態になってしまったら、無理に波を描こうとせず、レンジをブレイクするなりなんなりして、理解できる状態になってから波を描いてその波の方向性に沿ったトレードをして行くという事でも遅くありませんので、『どのように波を描けばいいのか分からない』と言う状態になったら、分かるようになるまで待つという事が非常に重要です。
急騰・急落時の対応
何らかの突発的な材料によって、急騰・急落が起きた際の波の描き方にも注意が必要になります。
例えば、何らかの報道等によって、上の図のような急落が起きたとします。23.6%以上戻さないと戻りと認識しないとした場合、赤いラインのような波を描くという事になります。しかし、赤いラインの波は値幅のある波ですので、青いラインの波のように分解する事が出来ます。
赤いラインの波のみで波の方向性を理解しようとした場合、『ポイントA』のラインを下抜いた時点ではじめて下落トレンドの継続を認識する事が出来ます。
しかし、青いラインのような波形を描けば、『ポイントB』の時点において、短期トレンドの反転を認識する事が出来、この時点でショートのエントリーをする事が出来ます。
押し目買い・戻り売りと言うのは、獲ろうと思っている波(トレンド)に対してひとまわり小さい波(トレンド)が一旦逆行し、再度、獲ろうと思っている波(トレンド)の方向性と合致したタイミングで売買を仕掛ける事を言いますが、このように急騰・急落があった場合には、押しあるいは戻しを直近の急騰・急落に対しての割合として捉えていると波のサイズがが狂ってしまう事があり、結果として押し目買い・戻り売りのタイミングを逸してしまうという事もあります。
本来、中期トレンドとして認識すべき波を短期トレンドとして認識して描いた波が赤いラインの波という事になるわけですが、これは、急騰・急落によって、通常よりも大きな値動きがあった事によって起こる現象です。
急騰・急落が起こり、短期のトレンドに分解が出来ないような値動きが出た場合にそれを短期の波と言う風に考えてしまうとその後の押し・戻りの値動きを見誤る事もありますので、急騰・急落が起こった際には、その後の押し・戻りの値動きに対して臨機応変に波を描いていくという対応も必要になります。
まとめ
今回は、波の描き方・水平線の引き方について解説をしてみました。
今回ご紹介したやり方で常に完全な波・水平線を引けるというわけではなく、時として、臨機応変な対応が必要になりますし、更なる向上・ブラッシュアップの余地のあるものでもあります。
上級者の方々の中には、より良い方法をマスターしておられる方も沢山いらっしゃると思いますし、私自身が普段使っている引き方にも、ケースバイケースな部分というモノもあります。
今回、解説した方法は、あくまでも、波の描き方・水平線の引き方の取っ掛かりを掴めずにいる初心者の方が取っ掛かりを掴めるようになる為の提案であり、いわば基礎工事のようなものです。
今回はフィボナッチリトレースメントを使ったアプローチを解説しましたが、以下の記事ではこれとは違う波の描き方を解説していますので、併せて読んでみて下さい。
今回の記事の中でも申し上げました通り、波の描き方・水平線の引き方は、マニュアルや正解というモノがある分野ではありません。今回の解説は、波を描いて行く上でのひとつの方法論という事になりますが、方法論を盲信したり、これで満足してしまうという事でなく、読者さん各自が色々なケースを体験し、その時々でどのように波を描いて行くのが合理的なのか?という事を個々に考えたり、検証を積み重ねたりして、更なる定義付けをしてより良い方法論に昇華させて頂けたらなと思います。