ダウ理論初心者必読!チャートに波を書く3つの方法
更新日時:2024年12月12日 09:00チャートに波を書くという作業は単純なようでいて奥行きの深い分野です。
どのような波を書くかによって相場観に影響が生じ、最終的にトレードの成否にも大きく影響します。
ダウ理論を知っていても、チャートに波を書けなければ話になりません。
波を書く作業は個々人の裁量の部分が大きく、それ故の難しさがあり、抽象的になりがちですが、自分なりの方法を確立する事で確実にトレーダーとしてレベルアップできます。
以前、フィボナッチリトレースメントを使って波を書く方法を紹介した事もあるので、興味のある方はそちらの記事も併せて読んでみて下さい。
この記事では、チャートに波を書くための3つのアプローチを説明していきます。
チャートに波を書きたいけど、取っ掛かりがつかめないという人は是非読んでいってください。
大きな足の波を分割して書く方法
大きな足の一本の片波を引き、それを下位足で分割していく方法で、この方法は私が主力で使っている方法となります。
私が普段見ている時間足は月足、週足、日足、4時間足、1時間足で、この方法の前提となる考え方として、例えば日足の波は4時間足の波の集合体として成り立っているであろう(以下4時間足の波は1時間足の集合体・・・)という考えをベースとして考えて行きます。
逆説的な言い方をすれば、『この片波が日足の波であるのなら、4時間足で分割できるはずだ』というように考えます。
この前提に立って、大きな時間足(ここでは仮に日足とします)で分かりやすい片波を引きます。
日足で書いた片波を4時間足で拡大し、4時間足で波を描いていきます。
以下、更に4時間足の波を1時間足で拡大し、1時間足で波を書いていきます。これを繰り返して波を書いていきます。
この方法で波を描くと自然と波がフラクタル構造になる為、相場の構造を捉える上で秀でており、長所としてサポレジを時間足ごとで分類しやすくなります。
また、エリオット波動理論との親和性が高いという特徴もあります。
一方で裁量の部分が大きくなるといった部分もあり、一朝一夕で習得できないといった問題もあります。
急騰急落などの一方的な値動きが起こると下位足で波を分割する事が出来ないという事態が起こり、どの時間足の波とすべきか?という悩みに直面する事になります。
このようなケースではどうすればよいかはケースバイケースとなりますが、大事な事は『今すぐに答えを出そうとしないで暫定の波として考える』という基本姿勢で臨むことになります。
相場は常に動いていて、暫定の認識・理解の中で判断を下さなければいけない局面が非常に多いのですが、大事な事は『暫定の認識・理解』であるという認識をもって相場を見る事です。
その基本姿勢を持ったうえで、『終わってみればこうだった』という理解に至った時に波を修正すればいいのです。
具体的な暫定の対処としては概ね以下の2つにわけられます。
長大な波でも下位足で分割出来ないのであれば、下位足の波とする
波のサイズからどの足の波かを暫定的に決めおく
これを日々繰り返して修正を加える事でより合理的な波を書いていきます。
1MAの終値を繋いで波を書く
この方法はインジケーターを使ってオートマティックな波を書いていく事を基本としています。
まず、チャートに1MAを表示させます。
1MAというのは要するに終値を繋げていったものですが、終値の上下動を波として見る事を出発点として波を捉えていきます。
この場合、どのような小さい上下動も波として表示されてしまいます。
1MAが描き出した波から小さすぎる上下動を除去し、目立った高低を波として認識する事で波として整えていきます。
この方法は多少、裁量が入る余地がありますが、オートマティックな部分もあるため比較的簡単にそれっぽい波が書けるという長所があります。
一方で、終値だけにフォーカスしているため、高値・安値を無視した見え方となる欠点もあります。
平均足を使うアプローチ
平均足の特性を活かして波を書く方法です。平均足は陰線や陽線が続きやすいという特性を持っていますが、陽線が継続している部分を上昇の片波、陰線が継続している部分を下落の片波として波を描いていきます。
まず、チャートに平均足を表示します。
平均足の同じ色の部分を結んだ波を描いていきます。
この際、平均足の色の変化があっても、ノイズのような小さい値動きは無視して波を描いていった方がそれっぽい波が描けます。
平均足とロウソク足では終値などの正確な値が違う為、修正をしていきます。チャートを普通のロウソク足表示に戻します。
平均足で描いた波をローソク足の終値に合わせて修正していきます。
これを繰り返して波を仕上げていきます。
この方法は相場の波をざっくりと捉える事に長けている方法となりますが、相場が調整局面に入ると陽線と陰線が交互に出るようになる為、上昇・下降の塊を捉える事が難しくなります。
使用に耐える波を書く為には、調整局面に対する対処法の確立が必要ですが、トレンドのある相場の波を手っ取り早く捉える上では威力を発揮します。
結局どの方法がいいの?
管理人は基本的には1の方法を使って裁量で波を書いています。
波を書くスキルが向上してくると大体の人が1の方法になると思われますが、2と3にも使い道がないわけではなくチャートに波を書いた事がない人の取っ掛かりとしての価値はあり、どう描いていいかさっぱりわからないという人はまずは2,3の方法を用いて慣れていくと良いのではないかと思います。
サポレジ引きの欠点
相場に波を書くことで波の上下にサポレジを引く事が出来るようになるわけですが、波を書く作業には多かれ少なかれ裁量が入る余地があります。
特に初心者の内は全ての波の高低にサポレジを引いてしまい、自縄自縛に陥って身動きが取れなくなってしまうという事も起こります。
サポレジの引きすぎも問題があり、サポレジの中で重要なもの・そうでないものの取捨選択が必要です。
特に短期足においてサポレジ引きすぎ問題は発生しやすい傾向がありますが、目立つ高値・安値に引く事を心掛ける事で少しづつ改善されます。
詰る所、波を書く事、すなわちサポレジを引く事は時間を掛けて徐々に上達していくものですので、継続力が問われてきます。
波を書いてトレードをしてうまく行かなかった時、そのトレードの反省・点検に波の書き方が正しかったかという項目を加え、常にスキルアップしていくことが重要です。
暫定で書いた波でやるしかないのがリアルトレード
波を書く技術が一定水準以上に達すれば、後からチャートを見れば、合理的な波・サポレジ・トレンドラインを引くことは容易くなります。
しかし、それでは実際のトレードで勝つ事は困難で、暫定の波・サポレジ・トレンドラインでやるしかないのが実際のトレードです。
例えば、サポレジであれば、数回の反発を確認して引くなら時既に遅しになることも多い為、一度の反発が起こった段階で、反発が起こる可能性があるラインとして暫定のサポレジを引いておく必要性があります。
重複になりますが、暫定で引いているという事を認識した上で、『正しいサポレジではないかもしれない』という疑いの目で見つつ、修正を積み重ねて行くことが非常に大切で、チャートに波・サポレジ・トレンドラインを引く際は暫定のものかを視覚的に分かりやすくする工夫も必要です。
チャートに波を書く事=サポレジ引きの最終的な目標は、暫定で書いた波・サポレジが機能する水準のスキルレベルに到達する事なので、過去の値動きに波を描く事に満足せず、現在進行形のチャートの中で波を描く事を普段から意識するようにしましょう。