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移動平均線を正しく読めない人はどんなテクニカル分析を使っても勝てない~移動平均線基礎編~

更新日時:2024年11月15日 05:25

メジャーなテクニカル分析と言えば、ロウソク足と移動平均線が双璧なのではないかと思います。


メジャーという事と意味をしっかり理解しているという事は別の問題で、移動平均線を正しく理解しているトレーダーは非常に少ないと思います。


移動平均線と言うテクニカル分析は、色々なテクニカル分析のルーツとなっているテクニカル分析です。移動平均線を正しく読めない人は、移動平均線派生のテクニカル分析を使っても勝てない場合が多いようです。移動平均線をしっかり読める人は他の移動平均線派生のテクニカル分析もしっかり使いこなせますし、そもそも移動平均線派生テクニカル分析を必要としません。


相場で勝てていない内は複雑なテクニカル分析や組み合わせをありがたがる傾向があると思いますが、相場で勝つ為には、相場をシンプルに見るという事が非常に重要です。移動平均線と言うと複数の移動平均線を表示させておいて、ゴールデンクロスやデッドクロスと言ったクロスサインでポジションを取ると言った手法が有名です。


相場においては、クロスサインでのエントリーはタイミングを逸している場合も多く、これだけで勝つ事は困難だと思います。


移動平均線で相場を分析する上でクロスサインというモノはそれほど重要なものではありません。個人的には、チャートに表示させる移動平均線は一本で良いと思っていますし、一本の移動平均線から沢山の情報を得る事が出来ます。


今回は移動平均線の基礎を移動平均線とプライスの位置関係と言う観点から解説して行きたいと思います。

移動平均線は一定期間のマーケットの平均コストを線でつないだもの


移動平均線は以下の計算式で求めます。


5日間の移動平均線の場合=(P1 +P2 + P3 +P4 +P5) ÷ 5

P1 = 当日の終値、P2 = 前日の終値、P3 = 2日前の終値、P4 = 3日前の終値、P5 = 4日前の終値


移動平均線は、ある一定期間の終値の平均値を繋いでいったものです。移動平均線を正しく理解する為には、この値が何を示すのかという事を知らなければなりません。


移動平均線の値は一定期間における売買の平均コストを示しています。



上の図は移動平均線とプライスの関係性を示すイメージ図です。現在のプライスと移動平均線の値の差は何を示すのか?と言う事を考えて見ましょう。


移動平均線は一定期間の売買の平均コストを示していますので、現在のプライスと移動平均線の値の差は『一定期間に買った人の含み益の平均値』=『一定期間に売った人の含み損の平均値』という事になります。ちなみにこれはプライスが移動平均線の上にある場合で、プライスが移動平均線の下にある場合は逆になります。


この事から、プライスが移動平均線の上にある場合は買い方は押し並べて含み益のある状態にあり、売り方は押し並べて含み損のある状態にあるという事が分かります。これが、移動平均線の上にプライスがあれば買い方有利、下にあれば売り方有利のメカニズムとなります。


ここで勘違いしてはならないのは、『プライスが移動平均線の上にいればとりあえず買う』、『プライスが移動平均線の下にいればとりあえず売る』という事ではないという事です。移動平均線を利用して投資で勝つ為には、移動平均線とプライスの位置関係の変化を見ながら、『買いが入りやすいポイント』・『売りが入りやすいポイント』を考察してそのポイントで仕掛けて行く事が必要となります。


上の画像のように現在、プライスが移動平均線の上に位置しているとします。ここから更に価格が上昇すると売り方が含み損に耐えられなくなり損切りをします。損切りの買いによって価格はさらに上昇、上昇トレンドが本格化してきます。


しかし、この上昇もいつまでも続くわけではありません。損切りの買い注文が消化されてくると買う人が少なくなってきて上昇が鈍化してきます。こうなってくると買い方も利食いを入れてきます。買い方の利食いの売りによって値下がりが始まります。


これが続くとプライスが移動平均線に近づいてきます。


移動平均線の付近では、含み損を抱えて耐えていた売り方が逃げの買い注文を入れたり、新規の買いを入れる参加者が出てくる事があります。売り方の逃げの買い注文と新規の買い注文によってレートが上昇します。これが押し目買いのメカニズムです。


この際、移動平均線付近で買い注文が入らず、そのまま移動平均線を下抜けて行く事もあります。この時は、売り方が有利な相場展開へと転換して行きます。


さて、このサイクルの中で、買って行くのに最適なケースはいつでしょうか?


それは、『移動平均線付近で含み損を抱えて耐えていた売り方が逃げの買い注文を入れたり、新規の買いを入れる参加者が出てきた時』及び『売り方が含み損に耐えられなくなり損切りをする時』です。


この事から、プライスが移動平均線の上に位置している時は、『移動平均線を下抜けない事に注意しながら下がった所では買いを先行させ』、『売り手の損切りがありそうな所では買い増しをする』と言う行動が合理的な行動となります。


また、上がり切って買い方が利食いを入れてくるポイントについては売りを入れるタイミングとなりますが、これを行う為には熟達した眼が必要になりますので、これについては慣れるまでは考えなくても良いと思います。


移動平均線から心理を洞察する


移動平均線を見て行く事で、投資家の心理を洞察することも出来ます。プライスが移動平均線よりも上にある場合は、買い方は押し並べて含み益があり、売り方は押し並べて含み損がある状態だという話をしました。


この時、買い方は含み益があるわけですから心理的には余裕がありおおらかな気持ちで相場を見ています。逆に売り方は含み損があるわけですから、『もう少し上がったら損切りしよう』とか『建値まで戻ったら逃げよう』とかと言った心境でいます。相場は、『売り』と『買い』どちらのアクションがより速く起こるかで動きます。


買い方が起こせる次のアクションは利食いの『売り』、売り方が起こせる次のアクションは損切りの『買い』です。


それでは、この場合売り方と買い方どちらが早く次の行動を起こすでしょうか?それは、売り方です。売り方は少しでもプライスが上がると『どこまで上がるか分からない』と言う恐怖に駆られ、損切りをしてきます。逆に買い方は含み益がある為に心理的余裕があり、多少プライスが下がっても心理的な余裕から利食いを思い止まる事が出来る可能性が高いのです。


売り方が先に動く事によって、上昇トレンドが加速する事になるのですが、この心理を利用して買いを仕掛けて行くのです。


売り方には、含み損を抱えてる状況の中でも『ここを上抜けたら損切りをする』と言う絶対的な撤退ポイントがあるはずです。それはキリ番だったりテクニカル分析から算出したレジスタンスラインだったり、過去の高値に引いた水平線だったりしますが、そういったラインを越えてくると売り方は『いかん!どこまで上がるか分からん!』と言う心理になって損切りをしたり、元々逆指値のストップロス注文が置いてあったりします。


このようにプライスと移動平均線との位置関係を見るだけでも色々な情報を得る事が出来ます。


移動平均線に限った事ではありませんが、テクニカル分析はシグナルを見るだけでなく、その裏にある投資家心理を洞察して行く事が大切です。移動平均線はロウソク足と並んで投資家心理を洞察しやすいテクニカル分析であると言えます。

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