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トランプ政権発足1ヶ月~波乱の幕開けなのか?

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トランプ大統領就任一か月

ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に就任してから1ヶ月が経ちました。

就任から1ヶ月とは思えないほど色々な事があったように思います。

外交・経済・人事・・・等々、ほぼ全ての分野で問題を頻発させ、話題を供給し続けたと言って良い1ヶ月となりましたが、今回の記事ではそれぞれの分野について起きた事をまとめてみたいと思います。

中東等7か国の人の入国を禁止した大統領令

トランプ氏が大統領就任後、最も大きな問題となったのが『中東等7か国の人の入国を禁止した大統領令』という事になろうかと思います。

トランプ大統領は、大統領就任1週間後にテロ対策として中東やアフリカの7か国の人の入国を一時的に禁止するとともに、すべての国からの難民の受け入れを一時的に停止する大統領令に署名しました。トランプ大統領は大統領選挙の時からこの政策を訴えていたので、抜き打ちで行ったわけではない・・・というかむしろ、公約通りとも言えるのですが、各地の空港で入国禁止の対象となった人々が拘束されるケースが相次いだ上、各地で抗議デモが起きる等、非常に大きな混乱をもたらす事になりました。

この大統領令に対し、ワシントン州の連邦地方裁判所は大統領令の即時停止を命じる仮処分を決定、連邦控訴裁判所もトランプ政権側の不服申し立てを退けた為、現在、この大統領令は執行されていません。

トランプ大統領は、裁判所の判断に対し、記者会見で『ひどい法廷だ。国の安全にとって悪い決定だった』『国を包括的に守る新しい大統領令を出す』として、新たな大統領令に署名する考えを示しています。

新たな大統領令がどういった内容のものとなるかは、何とも言えませんが内容によっては混乱を招く可能性もあります。

メディアと言うのは往々にして大袈裟なものであるので、全てのアメリカ国民がこれに反対しているかのようなニュアンスがありますが、実際には安全の為には良い事だとして支持する層もある程度以上の割合で存在しています。

移民や難民、テロリストが入国してくるという事に対して、我々のように日本に在住している日本国民には頭では何となく分かっているようでも、感覚として分かっていない部分もあるように思われ、トランプ氏の言っている事が是か非かを断ずることは一概には出来ないように思われます。

例えば、韓国や北朝鮮が何らかの深刻な経済危機などに見舞われ、難民化して日本海を泳ぎ渡って日本にドンドン押し寄せてきた時、人道的にそうすべきだとしても、それを無制限に受け入れる事が出来るか?と言われれて『YES』と答える日本人がどの程度の割合いるのか?という事を考えてみれば、トランプ大統領の政策を支持する層の人々が必ずしも狭量であったり、差別主義者だという事ではないという事も理解できると思うのです。

私はトランプ大統領を支持する立場でも不支持の立場でもありませんが、個人的には『多少乱暴であってもアメリカ国民を守る』というトランプ大統領の考えが全く理解出来ないというわけでもありません。

ただ、トランプ大統領の政策に一定の合理性があったとしても、やり方・言い方が他にあるだろうという感は否めず、トップダウンで『大統領のいう事に従いやがれo( *`ω´)o』的な姿勢が問題を大きくしているようにも思えます。

起業家と政治家の違いと言えばそれまでですが、トランプ大統領がそれを理解する事がトランプ政権全体の問題なのかなと言うように思えます。

メキシコとの国境沿いに壁を築くよう命じた大統領令

この政策も大統領選挙時から言っていた事であるので、公約を実行しようとしたと言う事なわけですが、一種のネタ的政策と受け止められていた部分もあり、本当に実行しようとするとは思っていなかったという人も多かったように思えます。

この件を巡っては、トランプ大統領が壁の建設費用をメキシコの負担とする考えを示し、これに対してメキシコのエンリケ・ペニャニエト大統領は、壁の費用を払うつもりはないと反発、予定されていた首脳会談が中止になると言った一幕もありました。

トランプ大統領は、ABCニュースのインタビューで『壁の費用はまず米政府が負担するものの、いずれメキシコが「確実に100%」払い戻すことになる』と述べています。壁の建築費用の拠出には連邦議会の承認が必要な為、壁の建設が実現するかどうかは不透明ですが、諦めたというわけでもないように思われる為、いずれ火を噴く時が来そうな気もします。

外交

壁建設を巡る問題で、メキシコのエンリケ・ペニャニエト大統領とやり合ってしまったトランプ大統領ですが、オーストラリアのターンブル首相と電話会談した際にも険悪な雰囲気になったと伝えられています。

報道によるとオーストラリア政府はオバマ前米政権との間で、難民認定を求め豪州へ密航後、国外の施設に収容された人々について、一部を米国へ移住させる一時的措置で合意しており、ターンブル首相がトランプ政権もこの合意を守ることを確認しようとしたところ、トランプ氏は激高、『これまでで最悪の取引だ』『次のボストン(マラソン大会)爆弾テロ犯を輸出しようとしている』などと発言、突然電話を切っちゃった・・・と言う出来事があったそうです。

結局、トランプ大統領は憤慨しながも合意を受け入れるそうですが、この出来事は国のトップに対してでも容赦ないと言う印象を各国の首脳に植え付ける結果となりました。

そんな中で行われた日米首脳会談では、安倍総理大臣をみずからの別荘に招待、ゴルフ外交も交えた異例の厚遇ぶりを示しました。

これまでにイギリス、カナダ、イスラエルの首脳をホワイトハウスに招いて会談し、同盟国との関係を重視する方針を示していましたが、これほどの厚遇を受けたのは安倍総理だけであり、日本側のトランプ対策が成功したと言って良いように思われます。

日米首脳会談のポイントは大きく分けて2つあり、1つは安全保障。もう1つは経済であったわけですが、安全保障に対しては米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用範囲に尖閣諸島(沖縄県石垣市)が含まれると共同声明に明記し、在日米軍の日本側の負担増に関しても表向き議題にあがらず、80点以上の結果であったと言えそうです。

経済面に関しては、為替と金融政策は議題にあがらず、アベノミクスに対して否定的なやり取り等はなく、比較的無難に乗り切ったと言えそうです。

トランプ大統領は、日本を厳しく批判したりもしましたが、結果的にトヨタの米国内での雇用創出策や日本からのインフラ投資等、アメリカの利益にもなる材料を引き出したとも言え、トランプ氏の強硬姿勢は必ずしも破天荒な事であったりするわけではなく、交渉術込みのものという事が分かります。

日本側も当面、現在の金融政策を維持する下地を作ることは出来たと言え、麻生太郎副総理とペンス副大統領のもとに新たな協議の枠組みを設ける事で、従来に比べトランプ大統領の不規則発言や暴言は出難くなるのではないかと思われます。

人事

トランプ政権発足から1ヶ月が経とうという時期なわけですが、トランプ政権の高官ポストのほとんどが埋まっていない状況になっています。

なり手がいないのか?トランプ大統領のお眼鏡にかなう人間がいないのか?は分かりませんが、バノン首席戦略官兼上級顧問ら側近が過去に一度でもトランプ大統領を批判した人間は認めず、トランプ大統領に忠誠を誓う人物のみを起用しているからだとする説もあります。

上院での閣僚の承認についても、野党民主党の反対等もあって大幅に遅れ、これまでに15閣僚の内9人しかうち承認されておらず、副長官が決まった省庁は15省庁中3つに過ぎず、いくつかの省庁がトップ不在の状況にあります。

政権発足直前に副長官や次官、次官補クラスは辞任するか、解任されるかでほとんどいなくなっており、次の長官が決まっても引き継ぎをする人間がいないという状態で、政策実行に遅延を生じる懸念があります。

また、トランプ大統領の側近のフリン氏が就任前の去年12月、ロシアの駐米大使とロシアに対する制裁について協議し、それを隠していたことが発覚して今月12日、辞任に追い込まれるといった事もあり、政権にとっては痛手となっています。

国を動かしていく為には、各部門がしっかり機能している事が大前提であり、そのトップが決まっていないという状況はどう考えても良い状況であるとは言えず、トランプ政権の抱える現状一番の問題はこれなのではないかと思います。

トランプ政権の経済政策・税制については、まだ全貌が明らかになっておらず、政権人事が固まらない事が原因で政策自体がスタッフ不足で進まず、期待と停滞が錯綜してしまうというリスクもあるように思えます。

特に商務長官に指名されたロス氏が議会上院で承認されておらず、経済政策での停滞が気に掛かる所です。

まとめ

細かく見て行くとトランプ政権発足からの1ヶ月は、就任早々に連発した大統領令と各国首脳とのやり取りの期間だったという事かと思います。

人事の停滞などもあって、キモとなる経済政策などはまだ動き出しているとは言えず、FRBの金融政策は引き続き利上げ路線と言う事であり、為替に対してはトランプ大統領の意思と言ったものが明確に示されてはいません。

トランプ大統領はドル高がお気に召さないという趣旨の事を大統領選挙の時から何度か発言していますが、それを政策ベースで言及した事は今の所ないわけですが、FRBの利上げ路線をどこかのタイミングで修正してくるのかを注目して行くという事になりそうです。